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Matzにっき


2005年08月01日 OSCON2005 1日目 [長年日記]

_ [OSS] OSCON 2005へ移動

まず、米子空港へ移動。NH1842で名古屋へ。 機材はフォッカー50。ちっちゃいぞ。うるさいぞ。

セントレア。さすがにきれいだ。 しかし、すごい人。羽田なんかよりもずっと混んでいる。 ちょうど昼どきだったせいか、レストランの類はぜんぶ行列ができていた。 あんまり人間が多いのは好きじゃないんで、かんべんしてほしい。

無線LANはあるかとPCを開くとアクセスポイントは多数あるが、 全部ESSIDが表示されない。どうやらHOTSPOT系の有料APらしい。 PHSカードで接続してgoogleに聞いてみると、 名鉄の駅にFREESPOTがあるらしい。

接続して、メールとWebの読み書き。

夕方になってやっと出発。AC10(B767)でバンクーバーまで。

AC10の席は18C。非常口横の席だったため前の座席との間隔がビジネス並に広かった。○

しかし、座席のリクライニングはほとんど倒れなかった。×

機内での映画は『ミリオンダラーベイビー』。 「100万ドルのベイビー」ということはバイオニックジェミーのような話、 のはずはなく、女子ボクシングの話。アカデミーをたくさん取ってたね。 しかし、日本語吹替えはぼそぼそとへたくそな演技をするばかりで興醒めだし、 英語は全然聞き取れないし(泣)、なんだかよく分からなかった。

最後は大どんでん返し。まさかヒラリー・スワンクとクリント・イーストウッドが直接対決するとは。 結果はもちろんダーティ・ハリーの勝利に終わるわけだが、 彼も無傷では済まなかった。クリントは倒れるところを誰にも見られないように一人立ち去るのであった。 こんな映画だとは誰が想像しただろうか(大嘘)。

バンクーバー到着後、 予定通り、ここでえらい待たされるわけだが、 実はAC10は機材の遅れで到着が1時間近く遅くなっており、 最初の予定通りの飛行機だと入国審査*1に 間に合わずに乗れなかっただろう。怪我の功名か。

http://www.yvr.ca/guide/todo/internet_access.aspを見る限り、802.11bがあれば誰でもインターネットアクセスができるように読めるし、 前回利用したときは確かにそうだったのだが、実際にはhttp://www.telusmobility.com/のインターネットアクセスを買う必要があった。

1時間10カナダドル、1日15カナダドル、1週間25カナダドル。結局1日券を購入。 消費税なども取られて実際には17カナダドル。高いぞ。

そんなに高けりゃインターネットにアクセスしなきゃいいのに、 とも思わないでもないが、中毒みたいなもんだな、これは。

Web巡回している間に「「テクノロジーの奴隷」状態から逃れるために」という記事を見付けて苦笑してしまう。 Webなんか見てないで、論文読んだり、Rubyをいじったり、いろいろすることはあっただろうと、 思わないでもない。

19:40にバンクーバーからポートランドに。機材はDash8シリーズ300。 あまり聞かない機体だが、SASの国内線でも乗ったことがあるような気がする(自信なし)。 もっとも大きさといい、デザインといい、乗客定員といい、フォッカー50と大差ない。 もしかしてOEM?

9時ごろにポートランド空港(PDX)に着く。 PDXでは無料で無線LANが使える。これは良いことだが、あいにくここで乗り継ぎをするわけではない。 使えることだけを確認して(メールもfetchして)、Baggage Claimへ。

PDXだけじゃないけど、アメリカの多くの空港では荷物受け取りに認証がない。 勝手に人の荷物を持っていってしまっても分からないと思うんだけど、 そういう問題はあまり起きないのかな。

空港から路面電車(Tri-met)にのってLloyd Center駅まで。 宿泊予定のDouble tree hotelは駅からすぐ。 ちゃんと予約されてなかったらどうしようとか心配したけど、 無事チェックイン。

ホテルに着いてからもインターネット接続に苦心する。もはや中毒間違いなしだ。 いろいろ工夫した結果、接続完了。

寝る前に家族とSkypeで話する。時々音がとぎれる他は快適に話できる。 便利な世の中になったものだ。もう少ししたら画像つきで話せるようになるだろう。

しかし、長い1日であった。8月1日は40時間くらいあったな。

*1  バンクーバーはアメリカの入国審査が行われる

_ [OSS] 「ひろしまオープンソフトウェアコンソーシアム 設立プレイベント」 〜『キーマンが語るOSSビジネスの最前線』〜

地方で積極的にオープンソースソフトウェア(の利用)に取り組んでいるところは多いし、 そういうところが知見を集約するためのコンソーシアムを作ることが無駄なことだとは思わない。 気になるのは単に利用するだけで終わってしまうのか、それともより積極的に参加・貢献するところまで到達できるのか、ということだ。

それよりなにより気になるのは、説明の中ではちゃんと「オープンソースソフトウェア」と呼んでいるのに、 コンソーシアム名では「オープンソフトウェア」という謎の用語にすり変わっていることだ。 以前、関西方面でも似たようなことがあったのだが、 やっぱ「オープンソースソフトウェアは長いから」なんだろうか、 それとも「オープンソースソフトウェアだけでなく、(無料ウェアである)フリーソフトも含めたい」という謎の意向が働いたのだろうか。

_ [Hack] 今日のハック

morqにGPG認証ができるコードを追加。 送るメールに署名する機能は文字コードの問題があるのでもうちょっと時間がかかりそう。 今のままだとEUCで署名しちゃうんだよなあ。 たぶん、文字コードの変換が終わった後にフックをかければ良いんだろう。


2005年08月02日 OSCON2005 2日目 [長年日記]

_ [OSS] OSCON会場へ

ホテルからTri-met2駅分歩いて会場へ。 本当は朝8時半からはじまるチュートリアルに最初から参加しようと思ってたのだが、 とても起きられなかった。結局会場に着いたのは10時頃。

会場でDave Thomas, Rich Kilmer, Jim Weirichに会った。 昨日のRubyのチュートリアルは盛況だったようだ。 David Heinemeier Hanssonの「Ruby on Rails: Enjoying the Ride of Programming」は立ち見が出るほどで、 今回のチュートリアルの中で一番人気だったようだ。おそるべしRailsパワー。

その他にも書籍即売会会場でProgramming Rubyは月曜の夜だけで売り切れてしまったとかで、 US(海外と一般化しても良いのだろうか)でブレークしつつあるのが感じられる。 Dave Thomasにも「今年、Rubyの年になるぞ」と言われて恐縮する。 でも、どっちかっていうと「Railの年」じゃないかなあ。

_ [OSS] IronPython 1.0: Python on the .NET Framework

IronPythonのチュートリアルに出る。

.NETプラットフォームは動的言語に向かないと言われていて、 それを証明しようと思ったら、不幸にも動的言語であるPythonが高速に動作してしまった(C言語で記述されたオリジナルPythonの1.7倍の性能)、という話。その他にも.NETと連携していろいろなことができます、とか、 .NETのおかげで手軽に高速に実装できた、とか。

後は高速化のためのTipとして以下のものをあげていた(配布資料から引用)。

  • Use native CLR constructs whenever possble
    • Ludicrously optimized machine code
    • But must be used creatively to match Python's semantics
  • Create fast-paths for common cases
    • Python scripts to generate C# code at development time
    • Reflection.Emit to generate IL at runtime
    • Some paths might be worth writing by hand
    • Challenge is to figure out what merits a fast-path
  • Include fall-backs to fully dynamic implementations
    • General-purpose support for less common cases
    • Handles Python's fully dynamic semantics

要するに良く実行されるものはカリカリにチューンするが、 たまにしか実行されないものは遅くても構わないので完全に動的に実装する。 その割り切りによって十分高速に実行できる、というのが主張だ。

もっとも、彼らが1.7倍(最新版では1.8倍)高速であることを試したPystoneは

  • 小さい
  • オブジェクト指向機能をほとんど使っていない

ので、実際のアプリケーションではまた違った挙動を示すかもしれない。

_ [言語] Neko

Rich KilmerからNicolas Cannasseを紹介してもらう。 彼はFlash Action ScriptコンパイラであるMTASCの作者なのだが、最近はNekoというVMを開発中なのだそうだ。

このVMはわりと高レベルな命令セットを持つもので、まだJITとかはないが高速なのだそうだ。 実際、IronPythonのセッション中に「(IronPython 0.9ではCPython 2.4の1.8倍だという)PystoneをNekoに移植してベンチマークしたら、3倍の性能が出た」とうれしそうにしていた。

正直、彼のフランスなまりの英語はヒアリングが難しいのだが、 日本人のガールフレンドがいるということで、突然流暢な日本語で「次、どこにいこうか」とか言うので びっくりする。

ということで、やはりNekoは日本語の「猫」から来ているそうだ。みんな「にこー」と発音していたけど。 最初、Nickelのことかと思ったよ。

Nekoは現在中間言語(ほとんど高級言語だけど)のコンパイラとバイトコードエンジンからなっており、 コンパイラの方はOCamlで実装されている。フランス人ハッカーはどうしてみんな関数型言語(特にOCaml)が好きなんだろう。

_ [OSS] RedRobin

昼食。Dave Thomas, Rich Kilmer, Jim Weirich, Glenn Vanderburg, Nicolas Cannasseの面子で、 RedRobinというハンバーガーショップへ。ハンバーガーといってもアメリカはスケールが違う。 日本のマクドナルドやモスバーガーで見掛けるようなハンバーガーの数倍の大きさがある。 食べたら夕食まで食べられなくなってしまった。

追記

入口で席が空くのを待っている間、Dave Thomasから「今度のデジカメはどんなのだ」と尋ねられる。 「?」という顔をしていると「だって毎回デジカメが違うじゃないか」とのこと。 そういえば、最初のRubyConfではRICOH DC-7を、次のではCASIO Exilim M2を持っていってたような。 そんな細かいことまで覚えてるのね。

で、ちょうど持っていたNIKON COOLPIX 5200を見せたら、 「ぜんぜん小さくないじゃないか」と不満そう。なにを期待しているのだ。 やっぱCASIO EX-S500を買っていくべきだったか。

なんてね、そんなに頻繁に買い替えるのは大蔵大臣の許しが出そうにない。

_ 買いもの

明日からは通常のセッションが始まり、見たいものが目白押しなので、 今日のうちにおみやげを買おうということでポートランド中心街に出かける。 MAXに乗ればすぐだ。

で、結局家族のためにDiscovery Channel Storeで玩具やらアクセサリーキットやらを買い込む。

_ [OSS] Tuesday Evening Extravaganza

火曜の夜のイベント。Ruby関係者とおしゃべりしていてちょっと遅刻していったら、 いきなりDHHの名前が呼ばれる。Google/O'Reilly's Best Hacker of the Year Award受賞だそうだ。 おめでとう。

そういえばDHHと最初に挨拶したときに「デンマークで会ったよね」と言われた。 確かに顔に見覚えがある。たぶん2年前に2回目にJAOOに参加したときにレセプションかどこかで 少し話をしたような気がする。あのときは確かRubyは使ってなかったと思うけど。

ま、とにかくRuby陣営からBest Hackerを出せるということは光栄なことだろう。

その後、Larry Wallの「State of the Onion」。このタイトルで何回目の話だろう。 今回はお子さんも連れてきていて(二人連れてきていたようだ。4人のお子さんのうち何番目かは不明)、 お子さんの作ったカードゲームをベースに話をしていた。

それからPaul Grahamの話。 仕事ってのは相当な割合の「無駄に見えること」から成り立っていて、 でもそれを正面切って認めることができないでいた(遊んでることになっちゃうから)。 オープンソースやブログは、その無駄に対する肯定を含んでいるから重要だ。 とかいうような話。

で、ここで中座してしまった。そろそろ木曜日のスライドの準備が気になるしね。 ホテルに帰って、テレビを見ながらスライド書き。

テレビで見た番組は

  • 鋼の錬金術師
  • カウボーイ・ビバップ
  • Forgotten
  • なんかカードでバトルするの(遊戯王ではない)

日本のアニメが多いのは前からだが、ますます増えた気がする。

「Forgotten」はなかなか面白かった。冷静に考えるとかなりあちこちおかしいんだけど、 見ている最中はそれは気にならなかった。 もうちょっと穴がないストーリー構成にできたら名作になったような。


2005年08月03日 OSCON 3日目 [長年日記]

_ [OSS] OSCON Wednesday

月曜と火曜はチュートリアルであったので、 実質的には今日からいわゆるOSCONと言っても良いと思う。 朝からキーノートが開かれていたのだが、スロースターターの私は参加できなかった。 OSCONレポーターにもなろうとおもってたのにこんなことじゃダメじゃん。

しかし、私の代わりに聞いてくれている人はちゃんといるわけで、 MYCOM PCのレポートを 参考にされたい。japan.linux.comにも記事がある。

Tim O'Reillyのキーノートでは「Ruby」とか「Rails」とかいう単語も聞こえたらしい。 やっぱぐずぐずしてないで会場に行けば良かった。

_ [OSS] Perl 6 Update

基本的にDamian Conwayがプレゼンテーションをして、Larry Wallが手助けをするというセッション。 Perl6の仕様の具体化が進んでいないわけではない(婉曲な表現)ということを意味する内容であった。 また、知らない機能やら演算子やらが増えていて、驚嘆するわけだが。

驚くべきはさらに新しい演算子が導入されて、Perl6の演算子優先順位のレベルは22であること。 さらにそれはPerl5よりも2少ないこと。うーむ。でも、今調べたらRubyでも23レベルあるなひとつは使われていないけど。

新しく聞いた演算子

範囲演算子
末尾を含まない「..^」(Rubyの「...」)、先頭を含まない「^..」、 先頭と末尾を含まない「^..^」。Damianはこれを「Neko operator」と呼んでいた。 2ちゃんかっつーの。
単項イコール
ファイルハンドルから一行取り出す演算子。 Perl5だとスカラコンテキストでファイルファンドルを評価することに等しい。 明示的な演算子を必要とするようになったのね。良いことだと思う。 Rubyだとgetsメソッドだな。 デフォルトファイルハンドル(ARGV)から1行読み込むのは「=<>」であり、 「fish operator」と呼ばれていた。

こんな調子で本当にPerl6は実現できるのか、たとえ実現できても使いこなせる人はいるのか。 なかなか難しい謎だ。

_ [OSS] Apocalypse Now! - Perl 6 Is Here Today

Brian IngersonがPerl6の実装(Pugs)について解説したもの。 Perl6はエンジン部であるParrotは多少進んだものの、フロントエンドはいつになることやら、 という感じだったのだが、Autrijus TangがHaskellでコンパイラを書いたことによって 一気に現実化した。Pugsがどこまで動くかというような話。

Autrijus自身は政治的な事情から「アメリカには来れない(来たくない)」とのことだったので、 Brianが代わりに発表ということに。途中で紹介されたビデオは爆笑ものだった。Ruby界にもこういう才能が欲しいと思ったら、 実はすでにいたことが後に明らかになるのであった。

その後、昼食。今日はRich Kilmer、Nicolas Cannasse, Glenn VanderburgとOCCのカフェテリアでピザとスープ。

午後は聞きたいセッションがたくさんあったのだが、時差ボケと寝不足で体調がすっかり悪くなってしまったので、ホテルに戻って寝ることにする。とても残念だ。

_ [OSS] 聞き逃したセッションたち

結局、聞きたかったのに聞けなかったセッションは以下の通り。 見ればわかるがめちゃめちゃ重複しているので全部聞くのは最初から無理だったんだけど。

  • PHP Security Briefing

    1:45pm - 2:30pm; PHPのセキュリティモデルについて聞いてみようかなと思って。 ま、ネットで調べられるけどね。

  • Perl 5.8 and Unicode

    2:35pm - 3:20pm; 弾さんのプレゼンは聞いておきたかった。 技術的な内容はともかくとして(失礼)、今回聞き逃していちばん残念だったセッション。

  • State of PHP

    4:30pm - 5:15pm; PHPの創始者、BrianRasmus*1 Lerdorfの話。 Rasmusは今Yahooに勤めているそうだ。

  • Extracting Rails from Basecamp

    5:20pm - 6:05pm; the best hacker of the yearの話を聞いておきたい、とか。 実際にはこれとほぼ同じ話を後で聞くことになる。

  • State of the Python Union

    5:20pm - 6:05pm; Guido van Rossum。 このあたりでやや体力が回復して会場に復帰。 おしまいの辺りちょっとだけ聞いた。私が会場に着いたときは、最近のPEPについて解説していた。 例外PEP(PEP344)とかの話をしていた。Rubyの例外にちょっと似てるなあ。

  • Design and Implementation of the Perl 6 Compiler

    5:20pm - 6:05pm; Pugsの話じゃないみたい。

*1  PHP作者の名前間違ってました。なんでBrianだと思ったんだろう。Rasmusというのは北欧系の名前、らしい

_ [OSS] FOSCON

OCC (Oregon Convention Center)で開かれているのは O'Reilly Open Source Convention。こちらはFree/Open Source Conference。

OSCONは結構な参加費を取る。700ドルだったか。スピーカーじゃなきゃとても参加できない。 そこでポートランド近辺に住んでいるがOSCONに参加するほど(経済的・時間的な)余裕がないギークたちが集まって開かれたのがこのFOSCONである。今回はRubyをテーマに結構な人数が集まった。 なんか寄付箱が置いてあるが、それ以外は無料らしい。

発表者は

  • David Heinemeiser Hansson
  • Rich Kilmer
  • Glenn Vanderburg
  • _why the lucky stiff

だった(他にもいたっけ?)。それぞれOSCONでの発表をそのまま(だと思う)。 なかなか興味深い。

一番面白かったのはやっぱり_why。Chanky BaconやLeast Surprisedのアニメもぶっとんでいたが、 エレキギターを持ち出して熱唱しはじめたときには会場爆笑。

♪ インスタンス変数は〜アットマークで始まる〜 ♪ クラス変数は〜アットマークがふたつ〜

とか、

♪ install.rbとsetup.rb〜 ♪ install.rbはみっつのステップでインストール完了〜 ♪ setup.rbはなにをやってるかわからない〜 ♪ 使ってないから〜

とか。アニメについてはここから BitTorrentでダウンロードできる(らしい、Torrent使ってないから)。

FOCONの写真はflickrで見ることができる。


2005年08月04日 OSCON 4日目 [長年日記]

_ [OSS] OSCON Thursday

OSCONの4日目。普通のセッションが目白押し。見たいものもたくさんあるが、 今日は自分も発表しないといけないのがツラい。ま、ただでOSCONに参加するためだと思えば、 たいしたことない、のかもしれないがやっぱりつらいものはつらい。

japan.linux.comに木曜日のレポートが出ている。

_ [OSS] Yield to the Block: The Power of Blocks in Ruby

Rubyの作者まつもとがRubyの魅力の秘密のひとつ、ブロックについて語る。

OSCONに申し込んだときには素晴らしいアイディアだと思ったのだが、 準備している間にMartin Fowlerに先を越されてしまう。 腹いせに例題をいただくことにする。いや、腹いせなんてとんでもないです、ほんとは感謝してます。 Martin、いつもありがとうね〜。

苦労しながら発表したスライドはここ

で、私のプレゼンを見て落ちたウロコの話(ブロックのパワーに気がついた話、英文)。

_ 英語で技術プレゼンテーション

英語の発表はかなりこなしたので、 私レベルの英語(日常会話は聞き取れる、難しい話はできない)で、 技術プレゼンをする秘訣が身についてきた。万人向けではないかもしれないが、 ちょうどいい機会なので紹介しておく。

  • スライドを用意する。ところどころ重要でないところで日本語を入れておくと目を引く。 私の場合は名前が「まつもと ゆきひろ」のまま。 日本語だと4,5分に1枚のペースで用意するのだが、 英語の場合、脱線したり関連したエピソードをその場で挿入する余裕はないので、 1分とか40秒に1枚のペースで用意する。 OSCONのようなオープンソース関連のイベントでは一般にユーモアが評価されるので ジョークを織りまぜておく。今回は「ルビま」のRuby on Railsネタを拝借しました。
  • スライドをコピーする。オリジナルのスライドは要点の箇条書きだが、 こちらには喋る内容を英語ですべて書く。数字とかもtwenty-oh-fiveのように書き下しておく。 原稿全部を書くと1枚のスライドに収まらないので、長くなれば積極的に数枚に分割する。 長い文だとどこまで読んだかわからなくなるので。 あと、発表用のスライド(オリジナル)でページ替えをするタイミング、 指示棒で指すタイミングなども<space>、<point>などの記号で書いておく。
  • 発表の場所ではPCを2台並べて用意し、片方で発表用のスライド、 もう一方で原稿用のスライドを表示する。 デュアルヘッドなマシンならそんなことはしなくていいのかな。 私の場合はMagicPointを使うが、別にツールは関係ない。
  • 発表の時には、時折会場の人を見ながら、原稿を読む。 一般に原稿を読むのはプレゼンとしてはサイテーなスタイルなのだが、 自分が英語がヘタクソなのを忘れてはいけない。 喋ることがわからなくなって、頭が真っ白になったり、 わけのわからないことを言って会場を混乱させるよりは読んだ方がマシ。
  • で、おそらくは時間が余る。全時間使うつもりでスライド準備しても余る。で、質問タイムにする。 英語がわかんないときには困った顔をしてると助けてもらえることがある。 今回はインド系の人の英語が聞き取れなかった。

えー、上のテクニックはあくまでも「最低レベルを確保する」ためのものなので、 上級の人は馬鹿にしてくださって構いません。ええ、英語できませんとも(開きなおり)。

_ [OSS] 10 Things Every Java Programmer Should Know About Ruby

「JavaプログラマがRubyについて知っておくべき10のこと」。

Javaについて知っている人が間違いやすいRubyとJavaとの性質の違い。

  • Learn Ruby Conventions
  • Everything is an Object
  • (Almost) Everything is a Message
  • Ruby is Way More Dynamic Than You Expect
  • Objects are Strongly Typed, Not Statically Typed
  • Don’t Worry About Interfaces
  • Mix it up with Mix-ins
  • Embrace Closures
  • ri is Your Friend, irb is Your Other Friend
  • Write Less Code
  • Ruby Makes Programming Fun Again

結構面白いと思った。Javaしか知らないなら確かにこの辺に引っかかるだろうなあ。 スライドはこちら

ただし私は「Objects are Strongly Typed, Not Statically Typed」の辺りで退席せねばならなかった。 次の用事があったのだ。

_ [OSS] Designers' Lunch

O'ReillyのAllison Randalの手配でランチ。 彼女はPerl Foundationの会長であると同時に、Perl6のコーディネータでもある。

ランチの参加者は

  • Allison Randal (Perl / Perl Foundation)
  • Larry Wall (Perl /the Wall nuthouse)
  • LasmusRasmus Lerdorf (PHP / Yahoo!)
  • Guido van Rossum (Python / Essential Security)
  • まつもと ゆきひろ (Ruby / netlab.jp)

と豪華。ここに爆弾を仕掛けると...というのは2年前に使ったネタだな。 場所はポートランドダウンタウンのHuber's。

非常に楽しい話がたくさんできたのだが、後悔していることもたくさんある。 出た話題は

  • 最近ホットなトピックは? - Unicodeかなあ (Rasmus)
  • 言語デザインを最初から完璧にするのは無理、段階的に発展する。 でも、後から(偶然)しっくり決まることもあると思う。 J.K.Rowlingも最初からボルデモートがアナグラムだと構想していたわけではないと思う。(Guido)
    -- Harry Potterに言及するGuidoはちょっと意外
  • Larryは食べられないものがいっぱい。パンもダメらしい
  • PHPは言語じゃない。バッチ的にも使えるようになったけど、使うべきというわけじゃない。 私は(他のツールについて改めて学ぶのが面倒なので)PHPをバッチに使うこともあるけど。(Rasmus)
  • プレゼン苦手。OSCONに来るのは楽しいけど。あ、来年はLightning Talkのコーディネータになるというのはどうだろうか。しゃべらなくて済むし。(まつもと)
    あ、それ良いアイディアね (Allison)
  • InsaneさではPerlの連中にかなわない。君達は桁違いだ。(Guido)

などなど。

後悔しているのは

  • 全員が揃っている写真を撮らなかったこと。一生の不覚
  • もっといろいろ聞きたいことがあったのに話せなかったこと。もっと英語が上手ならなあ。

私のミーハー心は満足されたがな。

_ [OSS]A Starry Afternoon, a Sinking Symphony, and the Polo Champ Who Gave It All Up for No Reason Whatsoever

Why the lucky stiffによるプレゼンテーション。本来は1:45pmからのコマに割り当てられていたのだが、

  • 3:20pmからのbreakタイム(約1時間)に
  • Portland Ballroom(いちばんでっかい部屋)

に変更になった。エレキギターを演奏するし、騒いでも迷惑にならない部屋ということなのだろうが、 たいしたものだ。内容は昨日FOSCONで発表したものとほぼ同じだが、いくつか新作があった。 逆にinstall.rbネタは省略された模様。爆笑の渦だった。

もっとも雰囲気で笑っていたので、冷静に考えると聞き取れなかったジョークもたくさんあった。

_ Skype

家族とSkypeで話す。これは便利だ。ただ、会場でラップトップに向かって日本語で話しかけていると 自分がバカになったような気がするのは欠点だ。今度はマイクつきヘッドフォンを持参しようかな。

_ Reception

で、会場のインターネット接続を利用していると、通りすがりの人に「Receptionはどうだった?」と尋ねられる。「いや、Receptionには出てないんだけど...」と答えると、怪訝な顔をしている。私も混乱気味。

で、辞書を引くとReceptionには「もてなし、歓迎会」などの他に「受信状態」という意味もあるのだった。 知らなかった。勉強になった。

_ [OSS] 最後に

Apple Developer Connection Receptionに顔を出して、食べ物をいただく。ブラジルからきた人たち(ひとりは日系三世)と話をしたり、 Perl5な人々と話をしたり。Perl5ピープルはパーティに誘ってくれたけど、 明日早朝にはもう出発しないといけないので、お断りする。貴重な機会を逃したようにも思うけど。

特に「Perl5をthread safeにしたい」という人とじっくり話がしたかった。 「書き込みだけlockすればなんとかなりそう」といってたけど。 RubyでもまずいのはGCのいくつかとst.cのハッシュテーブルがほとんどを占めるような気がするから、 あの辺をなんとかすることで、なんとかなるのだろうか。

_ 深夜テレビ

今晩は『Kill Bill vol.1』。こんなブっ飛んだ映画だとは知らなかった。


2005年08月05日 [長年日記]

_ [OSS] OSCON最終日

まだまだ面白そうな話が残っているOSCON 2005だが、 私はもうおしまい。帰ることにする。

8時頃にMAXでPDXへ。$1.75。MAXは市内の利用は無料なのだが、滞在中、勘違いして何度かチケットを買ってしまったのは秘密だ。

PDXのファストフード(メキシカン)で朝ごはん。なんだか量が多いぞ。 これがアメリカ人の標準的な朝ごはんなのだろうか。

9:25のAC8118でバンクーバーへ。10:41着。 バンクーバーからは13:00発(実際には15分遅れた)のAC9なので、時間的余裕はあまりない。 出国審査だけでけっこう時間がかかるしね。往路とは対照的だ。

バンクーバー空港の売店で素敵な瓶に入ったメープルシロップ、7.25カナダドルをおみやげに。 1カナダドルって何円だっけ。

飛行機の中の映画は『デンジャラスビューティ2』。まあ、こんなものかな。 私の趣味だと、お金を払ってみるほどの映画ではないと感じた。


2005年08月06日 [長年日記]

_ 名古屋着

で、名古屋に着いたら6日土曜日の16時だった。 1日損した気分。

名古屋空港から米子までNH1843。よく見比べるとDASH8 series 300よりは フォッカー50の方が少し大きいし、作りもちょっとだけ高級な気がした。

自家用車に乗り換えて帰宅。

_ ヒゲを剃る

元々ヒゲを生やしていたのは

だが、OSCON2005も終わり、当面海外に行く予定はないわけだし、 私のヒゲに関わりなくRubyが成功しそうな様子も見届けた。

ま、もういいかな、と思って。でも、やっぱり誰も気づかない


2005年08月07日 [長年日記]

_ [教会] 松江

帰国早々の教会。今日は司会だ。

断食証会。聖句朗読は長女。 第一話者だったので、アメリカで経験したことについてすこし話した。 けど、緊張してなにを言ったのかあんまり覚えてない。

帰宅後、たまった日記を片付けようとも思ったが、くたびれて更新できなかった*1

*1  この後、怒涛のズレがはじまるのだった


2005年08月08日 [長年日記]

_ [原稿] UNIXUSER 10月号

やっと本気で取り掛かる。帰りの機内でいろいろ考えたのだが、どうもまとまらない。 先月分の一番最後に「次回は続き」と書いたので、 「言語重要」の続きを書くべきなような気もする。

確かに先月原稿を書いていたタイミングではいろいろ書き残したような気がしていたのだが、 1ヶ月も経っちゃうとなんかテンション落ちてるんだよなあ。

さんざん悩んだ挙げ句、やっぱり「言語重要」の続きにした。 今度は「言語を作る」って話だ。でも、今月は読み返してみるとあまり面白くない。 残念だ。


2005年08月09日 [長年日記]

_ 時差ボケ

普段から時間のずれた生活をしていて、寝る時間が12時から4時くらいまでで変動するので、 海外に行っても、時差ボケというのはあまり感じないような気がする。 というか、普段から時差ボケっぽく眠たいのだが。

以前、京都でLarry Wallと話したときに、彼も似たようなことを言っていた。 もしかしてハッカー的ライフスタイル?

ま、それはそうなんだが、でも、海外に行って帰ってくると、大体1,2週間の間、 疲れがひといように思う。自覚がないだけで、これはやっぱり時差ボケなんだろうなあ。


2005年08月10日 [長年日記]

_ [原稿] 日経Linux 10月号

今月は「Metaprogramming Ruby」。Glenn VanderburgのOSCON 2005での発表をベースに。 でも、もうちょっと突っ込んだ内容になっていると思う。

ただ、リフレクションやevalについては(実装した本人であるので)詳しいが、 メタプログラミング機能が「言語内DSL」の実現に役立つというのは、 彼のオリジナルのアイディアだ。参考にさせていただいたGlennに感謝。

本当はお盆進行で10日が〆切だったんだけど、ちょっと間に合わないみたい。 編集の人にメールを出して1日〆切延ばしてもらう。


2005年08月11日 [長年日記]

_ [原稿] 日経Linux 10月号 (その2)

で、なんとか原稿を完成させて提出。 めでたし、めでたし。こっちはまあまあの出来。 というか、今月のハッカーズライフの出来が悪いんだな。申し訳ない

_ 島根県立図書館

ひさしぶりの県立図書館。

なにも借りないつもりだったんだが、 ふと目についたJ.P.ホーガンの作品を借りてしまう

  • 『4488663125』
  • 『4488663109』
  • 『4488663117』

そういえば、ホーガンって好きな作家なのに、 「星を継ぐもの」シリーズの他は『未来のふたつの顔』しか読んでないんだよな。 っていうか、SFを読む機会そのものがここ10年さっぱりなかったものな。

「時間泥棒」は借りたその日のうちに読んでしまった。 タイトルと冒頭だけを見ると『4001141272』を思い出させるが、 最後まで読むと実にホーガンらしい内容だ。ま、ファンタジーなところはおんなじかも。

非常に短い作品だが、「時間が減ってしまう」というせっかく面白いネタなのだから、 あとがきにもあるようにそれに伴って発生する現象など もうちょっと突っ込んで長編サイズにしてほしかったような気もする。

うーん、どうだろう、やっぱこのサイズが最適かなあ。

_ 連続的な開発と非連続的な開発

今までにあるものを改善する連続的な開発と、 今までに存在しなかったものを新たに作り出す「非連続な開発」ではやり方に違いがあるだろう、 という話。

まったくその通りで、実は最近なかなか非連続的な開発が出来なくなってきているのが私の悩みなのであった。

ここに書かれているような

  • 合宿
  • 移動オフィス

のような手段を導入せねばならんのか。いや、移動オフィスは今でもやっていてあんまり役に立ってないな。 とすると、必要なのは合宿のような他人も巻き込んでアイディアを引き出し、練り上げ、現実化するような やり方だな。

Ruby合宿するって言ったら参加者はどのくらいいるだろう?


2005年08月12日 [長年日記]

_ [言語] Cipher

langsmithメーリングリストで発表された新言語。

なんだかすごく数学的。

_ [Ruby] lambda記法

アメリカに行く前にさんざん悩んだlambdaの「->」記法だが、 Haskell方面には不評だが、このままでいこうと思う。 Perl6と同じなのもプラスだが、無名関数を簡潔な記法で提供できることは後々にメリットが大きいと思えるからだ。もっとも、以下の点はまだ議論の余地があると思う。

  • 記号。

    「LAMBDA args { ... }」という構文は決まりでも、 LAMBDAの部分になにが入るかはまだ変更できると思う。 でも「->」以上に私の心に響くものにはまだ出会っていない。

  • ブロック

    現在「ary.each -> x {puts x}」は「eachにlambdaを引数として渡す」ではなく、 「eachにブロックを渡す」ように動作する。ここもPerl6に合わせているわけだが、 この部分についてはあまり合わせる必然性はないようにも感じる。 例外なしに「->x{...}」はいつもlambdaにした方が単純でよいかもしれない。

あと、中田さんの<URL:http://www.rubyist.net/~nobu/t/20050805.html>を参考にして、 「->」の後ろに括弧を省略したときでもオプショナル引数を指定できるようにした。


2005年08月13日 [長年日記]

_ [教会] お手伝い

宣教師のお手伝いで勉強会に参加。 相手は以前にエホバの証人といっしょに勉強したことのある人。 聖書についての広範な知識は尊敬に値する。

教義の違いについては話題にならなかったが、 文化の違いもあって興味深い。


2005年08月14日 [長年日記]

_ [教会] 松江

お盆のせいか 里帰りの人が何人か。

セミナリーグランプリについて語ってくれた人もいる。

帰ったら今日こそは溜った日記を片付けようと思ったが、 やっぱり昼寝してしまうのであった。


2005年08月15日 敗戦記念日 [長年日記]

_ [教会] セミナリー

お盆だからということで、12時過ぎたところで夜釣に出かけた人たちがいた。 おかげでセミナリー欠席と遅刻。こらこら。

_ お盆休み

クリスチャンにお盆は関係ないだろうと思うのだが、 家族の希望により今日は休みとする。

で、米子で買いもの。ブックオフ、オフハウス、アニーのお気に入り、いとこの店('tis clay)、天満屋。 あちこちさすらってくたびれちゃったよ。

米子のブックオフで『め組の大悟』を12巻までまとめて買った。 12巻で完結だと思っていたからだ。ところが、実は20巻まであることが判明。 何年かぶりに買った漫画本なのに、残りを探して回ることになりそうだ。 連続ものは後半が入手しにくいんだよなあ。愛蔵版ならまだ新刊があるんだけど、 半分入手してるからなあ。

_ Xorg

しばらく前にサーバをXFree86からXorgに置き換えた。 別になんの問題もない、と思っていたのだが、 DPMSでバックライトがオフにならないことに気がついた。 なにが問題なんだろう。放置しておくとバックライトが消えていることがあるので、 standby/suspend/offの問題かと思ったが、dpms force offとかでも消えない。

謎だ。

追記

私のマシンはIBM Thinkpad X31、使っているドライバはatiでもradeonでも同様にバックライトは消えなかった。他に関係ありそうな情報はなんだろう?


2005年08月16日 [長年日記]

_ 草刈り

今年は、赤ん坊が手がかかるのやら、去年あった物珍しさという動機が少なくなったせいやらで、 裏庭の畑はほったらかしであった。日本の良好な気候によって裏庭はジャングルと化していて、 余計に立ち入れない感じになっていたのだが、 先日近所の人がマムシを見掛けたと聞く。

まずいな。

ご近所に迷惑になってそうな気分全開になったので、 草刈り機を借りて草刈りとする。でも、使ったことないんでちょっと緊張する。 格闘数十分、正直疲れた。なんか有用な植物も含めて全てなぎ倒してしまった。

で、後でこの刈った雑草の山を片付けねばならんな。

_ 44886631094488663117

『時間泥棒』に続くひさびさに読んだJ.P.ホーガン作品。

目が覚めたら7ヶ月後の見知らぬ土地で、 自分の街にたどり着いたら、「自分は死んだ」と言われてしまう。 そればかりでなく、「自分だと思っている人物」と「今の自分」とでは、 姿形も含めてまったくの別人らしいのだ。 いったい自分になにが起こったのか。

という、ある意味ホーガンらしい「なにが起こったのか」と引きつけるようなイントロ。 しばらく読み進むうちに、どうやら(人工的な)多重人格が関係するらしい、というところまでわかる。

ミステリ仕立てのストーリーを読むうちに「これはもうひとひねりあるに違いない」と確信したが、 それがどのような「ひとひねり」なのかはわからなかった。 説明されてしまえば「ああ、そうか」というようなものなのだが、 ある意味、気持ちよくだまされた。

正直、面白かった。

この話自体はハッピーエンドで終わるのだが、 このテクノロジー以後の世界はいったいどうなるのだろうか、という不安を感じた。 そこについては一切言及しないのもホーガンらしいような。

_ [言語] The Harry Potter Theory of Programming Language Design

先日の「言語設計者のランチ」でGuidoが言ってたことがブログのエントリになってた。 情報提供してくださった、むらたさんに感謝。


2005年08月17日 [長年日記]

_ 図書館

借りた本は読み終わったので、図書館へ。

今回借りた本は

  • 4488663079
  • 4894711885

また、ホーガンを借りてしまった。

_ チケット

19日、29日のプロコンの審査会へ出席するための飛行機のチケットを手配。 最近旅行代理店の人に「この人はしょっちゅうチケット買いにくるけどナニモノ?」という目で見られているような気がしないでもない。すいません、近いうち23日のぶんも買いにきます。


2005年08月18日 [長年日記]

_ [原稿] UUゲラ

ゲラが来る。大体毎回かなり削っているのだが、今回は珍しく行が足りなかったので書き足し。

_ プレゼン資料

「お願いしていたプレゼン資料がまだ届いていないのですが」というメールをもらう。 そういえば、OpenOffice.org指定でプレゼン資料を書いてくれと依頼されていたな。

「〆切はいつですか」と尋ねたら、「昨日です」と返答。

....だめじゃん。急いで書く。

_ [OSS] 八田真行のオープンソース考現学: Hear Me Talkin' To Ya

企業が「オープンソースコミュニティ」とうまくやるには、 ハッカー(開発者)の気持ちがわかるHR (Hacker Relation)のようなポストが必要ではないか、 という話。

ま、それはそうだ。スーツ族はなかなかギーク族の気持ちがわからないが、 相互理解無しには成功はなさそうだものな。


2005年08月19日 [長年日記]

_ U-20プログラミングコンテスト審査会

朝から東京へ。夏休みなので混んでるかなとも思ったが、 実際には飛行機は空席が目立つ。そんなものなのね。

今年も力作が集まっている。 事務局によれば応募数は昨年よりも減少しているらしいのだが、 地方別の一次審査を突破して我々の前に提示された作品のレベルはむしろ昨年よりも高い。 10月の「情報処理月間」で正式に発表されるまでは内容については 具体的に語ってはいけないと思うのだが、どれもレベルが高い。

全体的には個人部門の方が団体部門よりも感心するものが多かった。 団体部門はゲームが多い。

中には、既存の類似物よりもレベルが高いのではないかと思うものや、 実装のレベルはともかく、このアイディアはすぐにも事業化できるのでは、と思ったものもあった。 あと、今年は自作言語というなかなかチャレンジングな作品が心に残った。

結局、個人と団体双方で10件優秀作品を選んだ。

全体に「時間がなくてあきらめた」という臭いが感じられる作品がいくつか見受けられた。 優秀作品に選べなかったものでも、これをきちんと実装したら来年優秀作品に選考したい(来年も選考委員だったら)、というものが複数あった。

今後、29日に最終審査会を開き、本人によるプレゼンを参考に最優秀賞が選ばれる。 最終選考中には、審査対象者は「日本を代表するオープンソースプログラマ」の公園講演を聞くことになっているそうだ。うーむ。それはいいんだが、委員長の鶴の一声で30分と聞いていた講演時間が50分に伸びてしまった。なにを話すかなあ。

追記

実装言語だが、今年はPHPが目立った。Webアプリケーションが増えたからだろうか。 あとDelphiが意外と使われている。 なんでだろう。

Rubyは今年もひとつもなかった。


2005年08月20日 [長年日記]

_ 買いもの

妻の希望により、斐川町の「ゆめタウン」へ。普段よくいく松江の店には飽きたんだって。

催事場で、中古パソコンを展示している。リースアップのノートパソコンをクリーニングして販売している。 だいたいWindows MeころのPCが4,5万円くらい。もしノートが必要だったら買ったかもしれないなあ。 あいにく古いPCが余っている状態なので買うことはない。

_ 温泉

ひさしぶりに温泉にいく。末娘は温泉初体験。


2005年08月21日 [長年日記]

_ [教会] 松江

就職でこちらにUターンして以来、教会から足が遠のいていたという人が、 今日、教会に来ていた。それなりに決心してきてたようで「今週から御世話になります」との挨拶であった。喜ばしいことである。

こちらも暖かく受け入れたいものだ。


2005年08月22日 [長年日記]

_ サヒメル

夏休みを取って、島根県立三瓶自然館サヒメルへ。しかし、なんで「サヒメル」なんて名前がついてるんだろう。

ここではホンモノの月の石が展示されているのだ。 もちろん外見はただの石なわけだが、せっかくの機会なので。

その他にもプラネタリウムを見たり、宇宙服(のレプリカ)を着てみたり、 埋没林を見学したり。充実した一日であった。

埋没林というのは3500年くらい前に三瓶山の噴火で林がまるごと火山灰に埋まってしまっていた ものが、ここ10年くらいで学術的な意義が認められて発掘されたものである。 学術的にも見ごたえがあったが、展示が秘密基地みたいでわくわくした。

あと、デジカメ写真の手ブレが多くて難儀した。 手ブレ防止機能のあるデジカメが欲しくなったなあ。


2005年08月23日 [長年日記]

_ [OSS] 「2005年度日本OSS貢献者賞」受賞

IPAとOSS推進フォーラムが今年から「日本OSS貢献者賞」なる賞を創設し、 その今年の受賞者として選ばれたということで、東京まで出掛けていく。

浜松町でお昼を食べてから、秋葉原へ。 ブックタワーで本を物色しているうちにすごい雨に。 やや濡れながら会場へ。

受賞式は5時前なのに、3時頃に着いちゃって、 えらい早くついたなと思っていたら、他の人たちも早くやってくる。 どうやらリハーサルなどがあるので早く来てくれということだったらしい。 あんまりちゃんとメール読んでなかったのだが、怪我の功名だったらしい。

プレゼン用スライドデータの提出も〆切過ぎてたしな。

今年の受賞者は以下の通り。

  • 鵜飼 文敏(うかい ふみとし)氏:Debian Projectの主要メンバー
  • 高橋 浩和(たかはし ひろかず)氏:Linux Kernel開発への参画
  • 高林 哲(たかばやし さとる)氏:Namazu, quickml, gonzuiの開発/プロジェクト運営
  • まつもと ゆきひろ氏:Rubyの開発/プロジェクト運営

まあ、自分で言うのもなんだが、ある意味順当な人選ではないかと。 あまり名前が知られていない人だと「なに貢献したの」って突っ込まれるだろうし。 OSSを支援するということでは逆にあまり知られていない人を表彰するのが良いのかもしれないが、 今回のはあくまでも「貢献者賞」だしな。

ガラス製の立派な盾をいただいた。こんなのは大川出版賞を頂いて以来か。 副賞はOSS推進フォーラム参加企業からノートパソコンを提供してもらった。

機種は以下の通り。

  • 富士通 FMV-BIBLO NX70L/W
  • 日立 Prius PN55N
  • IBM レノボ Thinkpad X40
  • NEC FC-N11N

最初、くじびきという話だったが、受賞者の間で談合が行われ、

  • 富士通のマシンは高林くんの両親へのプレゼント(4.7Kgあっても平気)
  • 日立のマシンは私の妻へのプレゼント(Windowsマシンの方が都合が良い、かも)
  • レノボのマシンはそろそろ新しいのが欲しい高橋さんのモバイルマシン
  • NECのマシンは鵜飼さんへ

である。しかし、これだけ読むと余りもののように感じられるかもしれない鵜飼さんへのマシンだが、 実はバケモノのようなマシンで、

  • 90cmの高さから鉄製の床に落としても壊れない堅牢性
  • カタログには載っているが、通常生産はしていない。完全受注生産
  • 完全防水なのでメモリの拡張などはユーザではできない
  • だから、今回のものは最初から最大の1Gバイトメモリを積んでいる
  • しかも、Linuxプリインストールモデル
  • 最低価格で50万円台から。最強構成のこのマシンは市場価格はいったいいくらするやら

正直、私も欲しかったのだが、妻へのプレゼントとしてこんなの持ち帰っても、 宝の持ち腐れである。鵜飼さんに譲ったというのが正解だ。

リハーサルの甲斐あって、 受賞式は無事進行。リハーサルでは司会者が私の名前を「ひろゆき」と読んでしまい、 思わず訂正してしまったのだが(いつものことだ)、 本番では司会者は間違えなかったものの、受賞のその場でやっぱり「ひろゆき」と読まれる一幕があった。 また、高林くんのことを「高橋さん」と読んでしまった人もいた。

名前重要。

受賞式の第二部では、受賞者によるプレゼンテーションが行われた。 事前に何について話してください、とかはなかったので、自由なテーマで。 しかし、鵜飼さんのスライドがかっこいいので、後ろの方の発表者は直前に「どうしよう」とかつぶやいていたのは秘密だ。

それぞれの持ち時間は8分しかなかったので、ま、簡単な話しかできなかった。 私は自分のプロジェクトの話や自己紹介を一切しなかったのだが、 他の人たちはそれだけでほとんどの時間を費してしまっていた。

私はまあ面白ければいいやと思って、 地獄と極楽の法話*1について。あと人材の流動化について。

懇親会ではいろんな人と話ができた。特に普段なかなか会えない大企業の偉い人とお話ができたのは貴重な機会だと思う。御馳走も十分食べられたし。

IPAも限られた予算の中でこれだけのことを実現したのはたいしたものだと思う。 でも、来年の人のために宿泊費は支払える体制にした方が良いと思う。 今回は交通費は支給してもらえたが、宿泊費は自腹。

まあ、ホテル1泊ぶんでノートPCもらえたんだから得な取り引きだけど。

OSS貢献者賞はメディアでも取り上げられた。

*1  地獄にも極楽にもごちそうの大皿と長い箸がある。地獄の亡者は箸が長すぎて食べられなくて悪態をつくが、極楽の人たちはお互いに食べさせあう。有名な話だが、私が最初に知ったのは『エースをねらえ』


2005年08月24日 [長年日記]

_ 『ポケットモンスター ミュウと波導の勇者 ルカリオ』

東京から帰還。夕方、息子と映画を観に行く。

うーむ、ポケモンのいる惑星って人類が植民したものだと思っていたのだが、 中世のように見える時代があるということは、平行進化かパラレルワールドだったのね。 新事実だ。

さて、今年の映画は「スターウォーズ」と「トゥームレイダー」と「ポケモン」を足して 4で割ったような映画だ。波導なるフォース似のパワーは登場するし、 ベッキーが声を当てるLara Croftもどきも登場するし。

でも、小学二年生は大喜びであった。面白さに感動さえしていた。

だから、

  • (かならずしも生命の危機にあるとは限らない)ピカチュウを助けにいくためだけに、 危うく数万匹のポケモンと未知の生命体が絶滅するところであった
  • 救出チームの全員(+α)が一歩間違えば帰らぬ人となるところであった
  • 数百年前の貴重な情報を持つ生命を失った

のは、主人公のいつもの通りの根拠のない自信と、無謀な行動であったことは、 この際、目をつぶることにしよう。

大人げないからな。


2005年08月25日 [長年日記]

_ Phase Shifting

米子で仕事の打ち合わせ。その後、帰って家族と夕食。その後、教会でミーティング。

私はあんまり表裏のある方ではないが、それでも、こんなに短い時間で、 仕事の顔、夫・父親の顔、教会の役員の顔を切替えるとなんだか変な気がする。

Tシャツにジーンズっていう格好はおんなじだけどな。


2005年08月26日 [長年日記]

_ Get Things Done

先日東京に行ったときに『Get Thing Done』を立ち読みした(邦題ど忘れした)。 ほんとは買おうと思ったんだけど、なんだかピンとこなかったので購入は見送った。

しかし、この本で紹介されている考え方そのものは私に必要なものだと思う。 特にRubyの開発に関して。

バグなど「やらなければならないこと」はどんどん入ってくるのに、 集中して管理するところがないので、どれが終わったのか、 どこまでやればリリースできるのかすぐわからなくなる。

おまけに添付ライブラリのバグなどは他人へのアサインメントが発生するし。

svnに移行してTracを使えば良いのかもしれないが、 アレあんまり好きじゃないんだよなあ。Wikiで話を進めるというのが特に。 以前バグトラッカーを運用していたときには情報が足りなくて直せないレポートばかりが溜ったし。 やはりWebでレポートを受け付けるよりはメールを使った方が良いような気がする。

でも、それは私の杞憂で、RSSと連携すれば(慣れれば)うまく運用できるものなんだろうか。

個人レベルについては、私への依頼はほとんどメールで来るから morqでtodoフォルダに分類しておくだけでほとんど用は足りる。

がだ、もちろん達成期限や優先順位の管理があった方が良いだろう。 個人レベルでもToDo管理のツールを作ろうかなあ。

_ [原稿] OSCONレポート

UUにOSCONレポートを書いたが、2ページのつもりの文章が1ページにしかならなかったので、 激しく圧縮。あんまり面白くないレポートになってしまったなあ。


2005年08月27日 [長年日記]

_ ステーク大会 土曜の部

午前中くたくたと準備し、家族で新見へ。

年に二度あるステーク大会なのだ。これの日程が急に変更になったせいで、 Lightweight Language Day and Nightにいけなくなったのだった。

まあ、今月は出張があんまり多いんで、正直助かったところもあるけど。

新見までおよそ100Km。赤子をつれての移動はやや不安だったけれども、 とくにトラブルはなし

2時半から神権会。懐かしい人に会えた。

7時からの一般大会では、上の子が末娘の面倒を見てくれたので、 話を聞くことに集中できた。

運転で疲れて睡魔と戦わなければならなかったことを除けば、 恵まれた環境で参加できた。

_ LLDN

で、帰ってきてからLLDNのレポートを読む。

トラックバックセンタ、昼の部夜の部

トラックバックに集まっているエントリを読むと楽しそうではある。 でも、正直、一昨年とたいして変化してるわけでもないし、 笑いを得るとか、楽しむというか、そういう「技術系エンターテイメント」としての価値は認めるけど、 わざわざ地の果ての島根から行ってまで参加するほどでもないような気がする。 いや、かずひこくんはしっかり参加したわけだけど。

むしろ、やりたいのは合宿か。 頭を突き合わせて、新鮮なアイディアで、血の滴るようなコードをハックする。 今必要なのはまさにこれだ。なんてね。


2005年08月28日 [長年日記]

_ ステーク大会 一般大会

今日も新見へ。今回、子供たちの機嫌が良く、よく忍耐してくれているので助かる。

とうとう高等評議員を解任された。副監督になった4月以来、実質的な活動はしていなかったのだが、 それでも正式に解任されるってことは感慨無量だ...と感じると思ったら、そうでもなかった。 やっぱ、実質的に働いてないと感動しないよな。

後で花束を頂いたりしたのだが、かえって気恥ずかしい。

うちと妹家族、弟家族と弟が揃う。結構な人数である。 下の弟(24)は友人から「隣に座って赤ちゃんを抱いてたのは奥さん?」と尋ねられていた。 実はそれは末娘を抱っこしていた長女(12)であった。後ろから見たからわかんなかったらしい。 「それって二重に犯罪だし」とか答えてた。

そういえば上の弟は私の結婚式で「こいつ、今日結婚するんだよ」とか言われてた。 「...それは兄です」とこわばった顔で返答していた当時15歳の彼。 そんな彼のところにももうすぐ2番目の子供が生まれる。


2005年08月29日 [長年日記]

_ U20プログラミングコンテスト最終審査会

19日の審査会で10件まで絞りこんだものを、 開発者のプレゼンによって最終決定するための最終審査会。 北は北海道から南は沖縄まで全国から若い開発者が集まった。

情報化月間での最終発表まで内容は発表できないが、 なかなかの力作ぞろいであった。

高校生なのにプレゼンが上手い子とか、 自分が高校生の時どうだったかということを考えると末恐ろしい気がする。 将来が楽しみな若者たちだ。

言語処理系を自作する高校生とか、1週間でゲームを完成させちゃう大学生とか。 「社会をハックする構想」を披露する高校生もいたな。

で、最終審査の待ち時間に私から参加者対象の講演を行う。 聴衆はわずか20名くらいという贅沢な講演であった。 テーマは「ハッカーになろう/ハッカーサバイバルガイド」。 ひさびさの完全新作である。

Eric Raymondの「How To Become A Hacker」(邦訳)に似ているようで似ていない。

_ Mrs.Martin

宍道湖岸の国道9号線沿いには「Mrs.Martin」という名前の喫茶店がある。 白い壁のかわいらしい喫茶店だ。今日も空港からの帰り道にみかけた。

が、マーチンと聞くと「こいつにちょっとジャレつかれただけで私の顔はメチャメチャだ」とかいう事態が起きたり、 胃袋に隠したタンクから無色無臭の毒ガスを吐き出したりしそうで、なんとなく 足が遠のいている。

ドッギャアァァンッ。

でも、そんなこといわずに今度寄ってみようかな。

_ FEEDBRINGER

UIが変わった。フレームを使うようになったのは、(個人的にはフレームは嫌いだけど)我慢しよう。

ただ、少なくともLinux上のFirefoxでは

  • 「スペースキーでスクロール」以外のキーボードによるスクロール操作が効かない。 カーソルキー、PageUp/PageDownもHome/Endもだめ。 いちいちマウスカーソルを動かす必要があるためつらい。
  • 「閉じる」ボタンを押した後の画面の位置がかなり(下方に)ズレている。 連続してエントリを読めないのでつらい

という点が悪くなっている。残念だ。

そもそも「すべての未読フィードを広げた状態で表示する」設定で使えれば、こんな問題はないのだが、 FEEDBRINGERは「広げた状態で表示」した瞬間に既読フラグを立ててしまうので、 表示した後なんらかの事情(ブラウザが落ちた、間違ってタグを閉じた、など)で、 「本当はまだ読んでないのにフィードを失う」ケースがしばしばあるので安心して使えない。

この点、Bloglinesは具体的にどうしているのかはよくわからないが、 こういう事態は発生しなかった。 リロードしたり、タグを開き直しても古いフィードが残っていたからだ。

全体的な使い勝手はFEEDBRINGERの方が優れているので、改善されるといいなあ。

追記

今見たら、不満の第二点(ズレる)は直っていた。 あとはスクロールだ。あるいは賢い既読管理でもいいけど。


2005年08月30日 [長年日記]

_ [言語] Beyond CL?

Paul Grahamが「新しいLisp」を作るのは大変だと語った話。

You don't have to be independently wealthy to make a new language. Larry Wall and Guido van Rossum and Matz weren't.
(「『新しいLisp』を作る人がたくさんいないのは 皆がPaul Grahamほど金持ちではないからだ」というコメントに対して) 新しい言語を作るために金持ちである必要はない。 Larry WallもGuido van RossumもMatzも金持ちじゃない。
The advantage they had over us in the Lisp world was that they started from a lower point. Larry Wall, for example, started out trying to make a better awk. That's not hard. Awk is missing a lot. Whereas we in the Lisp world are bumpimg up against the asymptote. Among other things, we can't avail ourselves of the one of the richest sources of features for new languages: taking stuff from Lisp. We have to invent genuinely new things. Things, moreover, that people like John McCarthy, Gerry Sussman, and Guy Steele didn't think of. That's not so easy.

彼らが新しい言語を作るのに成功したのは、「低いところ」から始めたせいだ。 たとえば、Larry Wallは「より良いawk」を作ろうとした。それはそんなに難しくない。 Awkには欠けたところがたくさんあるから。 ところが我々には新言語を作るときに使える一番上手い手が使えない。 それはLispから機能をとってくることだから。我々が 新しい言語を作ろうとしたら、まったく新しいものを発明しなくちゃならない。 John McCarthyやGerry SussmanやGuy Steeleが思い付かなかったようなものを。

それは簡単じゃない。

金持ちじゃなくて悪かったな(笑)。たしかにPaulの百分の一くらいしか資産はなさそうだ(泣)。

それは、ともかく、Lispは確かに機能の宝庫で、Rubyもたくさんのものを頂いた。 「Rubyの良さ」の多くはLispのおかげである。それは事実だ。

だけれど、世の中には「Lispが持ってないもの」もいっぱいあるはずなんだな。 それが見えないってのは、ある意味幸せなことかもしれない。

でも、言語デザイナーとしてのPaul Grahamの限界も意味してそうだ。


2005年08月31日 [長年日記]

_ デジタルテレビに潜む危険と脆弱性

デジタルテレビが、 月例のアップデートでファームウェアが壊れてしまった、という実話。

昔のテレビと違ってデジタルテレビは結構複雑なものである。 放送データでアップデートできることは良いことだとは思うが、 気を付けないと大変なことになるという話。

記事中では「全国で一斉に強力な違法電波を送信して、テレビのファームウェアを破壊するようなデータを送信してしまえば、日本中のテレビが役に立たなくなる」というメディアテロが懸念されていたが、 これは適切な暗号化技術でほぼ不可能にできると思う。実際に暗号化されているかどうかは知らないが。

しかし、もうひとつの懸念である「テレビ本体が個人情報を保持している」という事実はちょっと恐い。 私はデジタルテレビに反対しているわけではない(全面的コピーワンスには反対している)。 この記事にもあるようにもっとシンプルなシステムの存在を許すことは必要だと思う。 少なくとも今のテレビと同等でただ伝送経路がデジタルなだけというテレビも必要ではないだろうか。

別にHDでなくても構わない。

_ 国際線チケット購入

やっと重い腰を上げてRubyConfのチケット購入を考える。

しかし、インターネットでチケットを購入するシステムというのはどうしてどこもかしこもあんなに使いにくいのか。やりたいことは、「いつから」、「どこから」、「どこへ」、「いつまで」を指定して、チケットを購入したいだけである。

ところが、大抵のチケット屋では、これら「いつから」、「どこから」、「どこへ」、「いつまで」の情報を指定させた後、候補が表示されるが

  • 候補の空席情報を調べようと思うと、改めて「いつから」、「どこから」、「どこへ」、「いつまで」をもう一度、しかも今度は乗り換え情報まで含めて入力させる
  • やっとの思いで飛行機の便と時間を確認できたかと思うと、そこから購入することはできない

なんてシステムはざらだ(というか、どっかのシステムを共有しているみたい)。

楽天トラベルはシステムとしては一番マシだが、それでも

  • やたら長い待ち時間
  • ようやっと表示されたかと思うと謎のエラー(空席がないのか、システムが混んでいるのか、まったく判断できない)
  • 何度も条件を変えてチャレンジし、ようやっとエラーをくぐり抜けて便が表示され、見積りを取ろうとすると、「空席がありません」エラー。だったら候補として表示するなよ。前のページでは「空席あり」だったのに。

やっぱりあきらめた。電話で予約しようかな。人件費を削減するためのインターネット取り引きだと思うのだが、これではユーザに苦痛を与え、信頼を失わせた上で、結局人件費のかかる電話予約に誘導する役にしか立ってないのではないか。

改善を要求する。


最新 追記