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Matzにっき


2003年07月09日 [長年日記]

_ [OSCON]The Open Source Paradigm Shift

時差があるので、ここではまだまだ9日です(日本時間では10日朝5時)。

スラッシュドット・ジャパンでも話題になっていたTim O'Reillyのキーノートを聞いてきました。

内容は事前インタビューなどにあった通りで、 別に目新しい内容はなかったのですが、世の中の変化という点からは興味深いものでした。

差別化が独自ソフトウェアによって行われていた時代から、 ソフトウェアそのものはコモディティ(日用品、どこにでもあるもの)になって、 それの組み合わせと蓄積したデータなどによるの「サービス」によって差別化される時代になった、 あるいはなりつつあるということか。

が、それってうちの会社がはるか以前から行っていたような気がする。 まあ、うちは直接サービスを提供しないので、差別化は主に価格と技術力と知名度で行っているわけだが。

そういえば、彼はDynamic Languageの効用を強調してました。これはインタビューには載ってなかったと思います。

マイクロソフトは3年ごとにリリースしているが、Yahoo!やAmazon, eBayは毎日でもリリースしている。 そのような速いサイクルの開発にはDynamic Languageが最適だという論旨です。

確かに。注目されるのはありがたいことです。

もっとも、いくら注目されても

  • Larry Wallは現在仕事がない
  • Guido van Rossumは転職したばかり

では、Dynamic Languageのデザイナーは報われないことです。 今のところ私の立場は安泰みたいですけど。

追記

転職と無職じゃえらい違いという指摘が。でも、GuidoもZope Corporationが資金がショートしそうで転職せざるをえなかったということですから、言語デザイナー受難の時代に変わりはないようです。

_ [OSCON]Dinner with Microsoft

OSCONの昼食はMicrosoftがスポンサーでした。曰く「Free as in lunch :-)」だそうです。

サンドイッチにナノマシンが入ってて、洗脳されて.NETでしかプログラムが書けなくなったら

などと冗談をいってましたが、現時点では大丈夫のようです。

私をはじめ何人かのDynamic Language関係者たちは夕食もMicrosoftにごちそうしてもらいました。 で、そこで私はLarry Wall, Guido van Rossumをはじめとする有名人とごあいさつしました。

Larryは日本語が上手になっていました。

皿があります
有名な人です

また自作の日本語学習プログラムも見せてもらいました。部首などからも単語が引ける力作でした。 すばらしい。

しかし、アメリカの食事ってどうしてあんなに大盛りなんでしょう。 隣の人が食べてたチキンなんで鶏半分まるごと(は冗談です。腿を1本まるごとくらいかな)が皿に乗ってました。 こんなには食えない。


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