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Matzにっき


2006-11-15 [長年日記]

_ [原稿] オープンソースマガジン

「ライセンス診断」完結。楽勝、とまでは言えないが予想よりは楽だった。 むしろ削るのに苦労した。

_ Servoy - smart technology for smart clients

どこかで見つけたAdSenseリンク。いわく、

From plain browser-only apps to enterprise web-applications with Servoy

Are you tired of the complex syntax and the limited capability of Ruby on Rails? Servoy enables you to code even faster than with Ruby, yet offers you so much more functionality! With Servoy's strong feature set, you can code complex web applications with integrated business rules in very little time; and then deploy these applications as both a Servoy Smart Client and Servoy Web Client -- using the same code-base.

要するにJavaのアプリケーションフレームワークで、Rubyとはなんにも関係ないようなのだが、 「Ruby(とRails)の複雑な文法と制限された能力に嫌気がさしたら」というのは、 面白い宣伝文句だ。普通は逆方向の流れなのだが。

こういうのが出てくるというのは、個人的に「Railsはホンモノ」という印象を与える。

_ [言語] How Does a Programming Language Stagnate?

Perl5が言語として停滞するということはあるのか、という話。

言語の停滞(あるいは衰退)というのは、 言語設計者である私にとって重要なテーマである。

プログラミング言語の衰退はユーザがいなくなることによって起きる。 それはその言語の生態系が弱体化することである。 もはや、その言語で新しいプログラムが書かれなくなると、 言語はメンテナンスモードになる。ユーザは少しずつ減り、 長い時間をかけてその言語は次第に忘れ去られていく。

現在、COBOLがそのモードである。 確かにまだまだCOBOLは使われている(我が社は その証人でもある)。 しかし、そんな我々でも、今からCOBOLの新しいプログラムを書く人が少数派であることは否定できない。

FORTRANもかなり近い。これも分野限定では現役のようだが。

しかし、衰退の前に停滞が来るのだ。

それは言語が進歩を止めることである。 あるいは仮に進歩が起きてもユーザの手に届かなくなることである。

たとえば、Cはかなり停滞が進んでいる。最後の規格はC99だが、 実際問題C99をばりばり使う人はそんなに多くない。

だからこそ、ほとんどの人が1.8に満足していても、1.9や2.0の話を続けなければいけないのだ。 Rubyを前に進めるための燃料として。

とはいえ、1.8と1.9があまりに分離しても、停滞は起きうるんだよなあ。 悩ましい。

本日のツッコミ(全14件) [ツッコミを入れる]
_ おごちゃん (2006-11-28 19:13)

> 今からCOBOLの新しいプログラムを書く人が少数派であることは否定できない。<br><br>これこれ。無知を自慢しないように。<br><br>COBOLは「ITメディア」から敵視されてるせいで、いかにも「COBOLは減っている」ように見えるのだけど、その実世の中の半数以上のプログラマはCOBOLに投入され、メンテナンスだけではなくて新規の開発も行われています。確かに「新しく書きたい人」は少数派なんだろうけど、「新しく書く人」はむしろ多数派です。その辺取り違えないように。<br><br>COBOLは92年小改訂以降、2002年大改訂があり2007小改訂があって、今やOOPも取り込んでどんどん進化を続けているのだけど、そういった「新しい機能」が使われているかと言えば、ごく一部の人達が喜んでいるに過ぎません。<br><br>個人的には92年規格くらいでCOBOLの機能拡張は終わりにして、後は小改訂くらいにして欲しかった。その辺までが「COBOLらしさ」の終点じゃないかと。実際に2002年規格の会議でも「その構文は英語としておかしい(英語圏の人達はCOBOLに英語としても読めることを要求する)」という意見が出た構文もありました。<br><br>いろんな意味でCOBOLは既に本来の現役が終わって、「老害をまき散らしている言語」と言えなくもありません。ある程度を過ぎた「延命措置」が果して「本人」のためになるのでしょうかね? まーLispはいつまでたっても青年に見えるけど。この辺は「仕様を取り込む風呂敷の大きさ」で決まるのかも知れません。

_ 削除希望 (2006-11-28 20:02)

(我が社) はカッコ悪くないですか?

_ まつもと (2006-11-28 20:22)

削除希望さんへ、<br>括弧の位置、間違えてました。訂正しておきました<br><br>おごちゃんへ、<br>うーん、COBOLがまだまだ現役だと認めているあたりで勘弁してください。<br>母集団の取り方によるのでしょうが、COBOLを多数派と呼ぶのはやはり抵抗があります。<br>COBOLの命運は進歩が止まった「停滞」よりも、ユーザの心が離れてしまった「衰退」によって決まっているような気がします。停滞すればいずれ衰退しますが、停滞しなくても衰退しないとは限らないのが難しいところで。

_ おごちゃん (2006-11-29 01:45)

> 母集団の取り方によるのでしょうが、COBOLを多数派と呼ぶのはやはり抵抗があります。<br><br>ヲタクを母集団に取れば、元からCOBOLなんて眼中にないよね。<br><br>でも、「COBOLいまだ業界多数派」ってのは、逃れられない事実なのよ。まずこれを認めて考察してから、「言語の寿命とは?」ってのは考えるべきでしょう。「COBOLを駆逐するつもりの言語」がいくつも提案されながら、それが成功しなかったどころかCOBOLよりも早く消えてしまったということとか。<br><br>> ユーザの心が離れてしまった<br><br>これも事実誤認。COBOLユーザ自身はCOBOLに対する忠誠度は異常に高いです。それは「Ruby厨」「Java厨」のそれと同じです。何でもその言語一本でやろうとしたがるところも同じ。<br><br>「COBOLの限界」ってのはCOBOL自身じゃなくて、COBOLをとり巻くプラットフォームとか適用分野、開発体制あたりで「COBOL以外を求める」ことが増えて来たことから来たんじゃないかなぁ。

_ soda (2006-11-29 02:50)

『世の中の半数以上のプログラマはCOBOLに投入され』とか『COBOLいまだ業界多数派ってのは、逃れられない事実』ってどこがソースなんでしょう? 私を雇ってる会社にはまだ COBOLができるプログラマは一応残ってるようですが、完全に少数派です。1990年度の新人研修でCOBOLを教えていたのは覚えていますが、その時点で既に少数派でした。その後数年以内には新人には教えなくなりました。<br>ちなみに、前にまつもとさんが話題にしていた Job Trends のページで "COBOL programmer" を検索してみると (http://www.indeed.com/jobtrends?q=COBOL+programmer)、Java の 1/3 程度の求人量しかないようです。これは C Programmer と比べても少なく、Perl programmer と同じくらいですね。

_ C-yan (2006-11-29 04:26)

そもそも職業プログラマしかカウントしてないような気がする...<br>例えば、理工系の大学生はかなり多くの人がプログラムを書き(書かざるえないから)ますが、COBOLERなんて基本的にいませんよ.

_ murayama (2006-11-29 09:38)

「COBOLユーザ自身はCOBOLに対する忠誠度は異常に高いです。」については、同意します。そういう現場で「この世にはCOBOLしか存在しない」と断言して憚らない方もいらっしゃいました。<br>私見ですが、今となってはCOBOLはHack魂には響かない、程度に感じています。「ヲタクを母集団に取れば...」で母集団に含まれてしまってますね。<br>「職業としてしかプログラムを書かない人」と「自身の興味でプログラムを書く人」(とそのAND)で分けて考えると違った結論が導かれるような気がします。

_ MMX (2006-11-29 10:10)

C/COBOL「言語」が直接みえなくとも、その処理概念の遺産、固定長処理(含む、全角半角)の亡霊は至る所に残っています。(BYTEが直視できる処理)

_ ひがき (2006-11-29 10:25)

ユーザの心が離れてしまっても、お金を出す人がいる限り、その言語で「新しく書く人」も存在し続けます。<br>今でも「電算センター」みたいな建物の中に「汎用機」みたいなマシンのある会社では COBOL 現役な気がします。<br>あと、COBOL を使っていなくても、他の言語で COBOL 的なプログラミング (ローカル変数使用不可とか) を強要するような現場もあります。<br>もちろん、そういう現場では、最新の COBOL は使用不可です。

_ MMX (2006-11-29 16:32)

手計算と一致する、十進演算もハードに残ります。<br>一桁は10ビットの千進法で格納する。<br>Fall Microprocessor Forum 2006 - IBMが次世代サーバプロセッサPOWER6を発表<br>http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/10/22/fpf1/002.html

_ おごちゃん (2006-11-29 19:02)

> どこがソースなんでしょう?<br><br>「COBOL プログラマ 人口」あたりでぐぐってみれば、いろいろ情報は出て来ますよ。まー、確かにそうやって出て来るのは、「職業プログラマ」の統計ですが、元々COBOLは職業プログラマ以外は使わない言語ですから。<br><br>見た目COBOLプログラマが減ったりしているのは、昔のように「何でもかんでもCOBOL」とか「オフコンと言うCOBOL専用機」がなくなった(他のものに転換した)せいでしょう。でも、いまだに「とんでもなくデカいCOBOLのプロジェクト」なんてのはメジャーとして存在してるので、実際はそんなに人口減少してない... ってことではないかと。

_ soda (2006-11-29 20:44)

> 「COBOL プログラマ 人口」あたりでぐぐってみれば、いろいろ情報は出て来ますよ。<br><br>google で上から3番目に<br>http://www.cobol.gr.jp/knowledge/mail_magazine/magazine001.html<br>という記事があり、そこに「COBOL : Visual Basic : C/C++ = 300 : 160 : 110 (万人) という内容を雑誌で読んだという話を1999年に聞いた」と載ってますね。<br>これのことでしょうか?<br>googleの上位10件を見た限りでは、これ以外にCOBOLと他の言語を比較した数字はないようです。<br>もちろん、見逃した可能性や、これより下位に情報がある可能性もありますから、もし上記のURL以外を指しているのでしたら、生越さんの参照された情報源のURLを具体的に示していただけないでしょうか?<br><br>さて私には、上の数字は1999年と7年も昔の話で、しかも伝聞ですから、現時点での値の根拠にはならないと思うのですがいかがでしょう?<br>なお、よりソースのはっきりした情報としては下記があります。<br><br>http://www.csg.is.titech.ac.jp/~chiba/notes/oosympo02.pdf<br>IDC による2000年の調査。<br>C/C++ : Visual Basic : 4GL : Java : COBOL = 300 : 230 : 180 : 120 : 110 [万人]<br>従って、4GLを除いても COBOL は 4位に過ぎず、人口比は11.7%以下(全数が不明なため以下としか言えません)。<br><br>https://www.rbccmresearch.com/drw1.0.4/pdf/0,,6402,00.pdf<br>Dain Rauscher Wessels によるレポート (数値はグラフから目測)<br>1998年: Visual Basic : C/C++ : COBOL : 3GL : Java = 32% : 15% : 8% : 4.5% : 4%<br>2003年末: Visual Basic : C/C++ : COBOL : 3GL : Java = 23% : 15% : 4% : 2 % : 13%<br><br>どちらの結果も、COBOL の割合は過半数どころか、10%かそれ以下ですし、1998年の時点で、既に C/C++の合計や、Visual Basic よりも少なく、また2000年にはさらにJavaに抜かれているという内容になってます。<br>私としては、こちらの値の方が実感にあっていますがいかがでしょうか?

_ soda (2006-11-29 20:53)

> 上の数字は1999年と7年も昔の話<br><br>1999年と考えたのは、copyright が 2001年で、かつ文中に「一昨年のことだが」とあるからですが、2001年だけではなく2000年もcopyrightの日付として書いてありますから、ひょっとすると初出は2000年で、2001年の時点でも「一昨年」という表現は変更してなかったのかもしれません。<br>もしそうだとすると、1998年で8年前の話になります。<br>それにしても、IDC や Dain Rauscher のレポートと値が違いすぎますが。<br><br>なお、cobol.gr.jp の記事の通りだとしても、COBOLの比率は 300/(300+160+110)=52.6%未満です。1998年〜1999年は2000年問題対応でCOBOLの開発が比較的多かった時期で、現在はそれよりも減っていると推定するのが妥当ですから、この記事は『世の中の半数以上のプログラマはCOBOLに投入され』ていることの根拠としては不十分だと思われます。

_ おこっちゃうよ! (2006-11-30 00:47)

>COBOLは「ITメディア」から敵視されてるせいで、いかにも「COBOLは減っている」ように見えるのだけど、その実世の中の半数以上のプログラマはCOBOLに投入され、メンテナンスだけではなくて新規の開発も行われています。<br><br>これこれ。無知を自慢しないように。<br>そんな事実はありませんよ。<br>COBOLは貴方の目から友好視されているせいで、いかにも「COBOLは勢力を保っている」ように見えてるのだろうけど、その実COBOLは衰退の一途を辿ってます。

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