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Matzにっき


2006年09月14日 [長年日記]

_ [言語] James Gosling: The Black Hole Theory of Design

結局、Javaにクロージャを入れることになったGoslingのひとこと。

I have somewhat mixed feelings about closures: they are pretty complicated. But they're an instance of what I think of as the Black Hole Theory of Design. I have a really strong memory from years ago of Guy Steele saying roughly "Lisp is a Black Hole: if you try to design something that's not Lisp, but like Lisp, you'll find that the gravitational forces on the design will suck it into the Black Hole, and it will become Lisp". [Guy doesn't actually remember making this remark, but he does say it sounds like the kind of flip comment he would make; I could also be totally mis-remembering who said it, but I haven't found any quote like it through Google].

Guy Steel曰く「Lispはブラックホールだ。「Lispに似た(でもLispではない)なにか」を作ろうとすると、重力につかまってブラックホールに落ちてしまう。そしてそれはLispになる。

うーん、確かに。Rubyだって見る人が見ればLispだろうしな(だがマクロは拒否する)。

_ 「曇りガラスに描いた絵から水滴がぽたり」--経産省の20歳以下限定プログラミング・コンテスト,最優秀賞決定

ITProの記事。MSN毎日インタラクティブでも紹介されている。 U-20プログラミングコンテンスト 優秀作品決まる

ITProの記事のタイトルにもなっている団体の部最優秀作品「ぽたり de アート」は、 昨年の最優秀作品「AKI黒板」に似過ぎているという意見もあったが、 「こだわりが面白い」ということで採用。

これで「U-20は黒板系が狙い目」という風説が流れなければよいが。

個人の部最優秀賞は「プログラミング言語Spinel」。 昨年の「Frontier」の続編だが、スクラッチから書き直している(ソースを見たら本当に書き直していた)。わずかの期間に次の言語を作り出したパワーを評価した。 また、Frontierと比較してSpinelはより「普通のプログラミング言語」に近づいている。 粗削りなところが減って(残ってるけど)、「言語デザイナーとして経験を積んだな」ということを 感じさせる。でも、実用するにはGCとかが欲しいなあ。

あと、「Atomoo」の作者はうちの長女と同い年である。 こうもちがうものか。いや、長女にはプログラミングとか教えてないけど。 最終審査会での彼のプレゼンは(年齢を考慮すると)驚異的であった。

_ がんばれ“プログラマの味方”ボーランド

ふたたび開発環境を提供しはじめたボーランドを応援する記事。

それだけといえばそれだけなんだけど、

Intersimone氏は,今後ボーランドの開発ツール部門がよりプログラマ指向になること,プログラミングする人の数を増やすことが世の中にとっても同社にとっても重要であることを繰り返し強調した。氏の考えには,「初心者に使いやすい開発環境を安価に提供する」という,かつてのTurboシリーズの理念がそのまま受け継がれている。ここ数年間,プログラマの人口を増やせないかと考えてきた記者は,大変心強く感じたものである。

ただ残念なことに,インタビューの席上ではマイクロソフトのツール群に対して明確なアドバンテージを打ち出せるような方策は聞けなかった。ターゲットとなるプラットフォームをIntel Macや家庭用ゲーム機に広げてみたらどうか,最近流行のスクリプト言語,動的言語を扱ったらどうか,などいろいろ話を振ってみたものの,「Turbo製品群は第一弾に過ぎない,今後期待してほしい」というだけで,明確な回答は引き出せなかった。記者はTurbo Rubyでも出せば結構ヒットするのでは,とも思うのだが。

た、「Turbo Ruby」?

_ fontconfig, fontconfig-config

Debianのアップデートを行い2.4.0-5にしたとたんにフォントが汚くなった。 小さめのフォント(16ポイント以下)に対してビットマップを使うようになったらしい。 しかし、個人的な好みとしては8ポイントくらいまではアンチエイリアスが使いたいんだけど。

たぶん、/etc/fonts/conf.d/のどれかのファイルをいじれば良いのだと思うんだけど、 この大量のXMLファイルのどこに必要な情報があるのかわからない。

だからXMLは嫌いだ(八つ当たり)。


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