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Matzにっき


2006年06月30日 [長年日記]

_ [Ruby] キルギス講演

キルギスという国をご存じだろうか?

Wikipediaによれば、

キルギス共和国(キルギスきょうわこく)、通称キルギスタンは、中央アジアにある旧ソビエト連邦の共和国。首都はビシュケク(旧名フルンゼ)。クルグズスタン、クルグズ共和国ともいう。

なのだそうだ。

で、キルギスでIT技術者要請プロジェクトを実行中の、 JICAから要請を受けて、キルギスの技術者に対して、Rubyの紹介をすることになった。

とはいえ、中央アジアまで行くのは現実的ではない。 聞くところによると、以前キルギスまで人材を派遣して一日のセミナーを行ったところ、 移動などを含めて足かけ9日かかったということだ。勘弁して。

ということで、新宿にあるJICAの施設からテレビ電話で講義を行うことになる。 朝一の便で出雲空港から東京へ移動。

昼食後、会場へ。 簡単な試験をしたが、無事に通信もできそうだし、 CRT出力も完璧。

トラブルといえば、原稿表示用に持っていった2台目のラップトップがUSBメモリを認識せず、 しかたなしに原稿表示には、現地にあったPCを借りたくらいか。 が、数分の作業で対応できたので、ぜんぜん問題なし。

で、途中まで、スムーズに話は進んだのだが、 途中、突然通信が途絶する。

先方で停電があったのだそうだ。まだまだ電力事情は厳しいらしい。

しかし、向こうもそのくらいのことは予想している。 発電機を利用して通信を再開するということになった。

数分後、通信再開。

しかし、発電機の性能のせいか、 たびたび通信が中断するようになる。 こちらからは伝えたつもりの内容が実は伝わっておらず、 「2枚ほどスライド戻って、もう一度説明してくれ」というようなことが 頻発して、ちょっとつらい。

この調子で進んでいると、通信が完全に中断してしまった。 どうも、電力不足でブレーカーが落ちてしまって、 発電機が作動しなくなってしまったらしい。 あとで聞くところによると、今日はたまたま発電機担当の技術者が病欠で、 よくわからないまま無理をしてしまったらしい。

「プレゼンの呪い」は健在であった。

しかも、今回は発電機まで壊してしまったし。

まあ、自分のせいじゃないからいいか、と自分を慰めることにする。 中断後、向こうのセミナー参加者は大変興味をもって、活発なディスカッションが行われたらしい。 「後で、まつもとも交えてディスカッションできたらいいね」という話になる。

本当に。

発表用スライドはこちら。 以前のものの使いまわしなので、新味はない。


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