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Matzにっき


2004年11月05日 [長年日記]

_ [知財]対談 小寺信良×津田大介(2)−音楽ファンとレコード会社の“思い”は、なぜすれ違うのか

私は音楽ファンではないが、いち消費者の立場から見ると不思議でしょうがない。

結局はレコード会社が旧来のやり方を変えたくないというのが一番大きいのだろうか。 司会者の言葉

CCCDでも、輸入権の問題でも、音楽業界は何らかの“コントロール”をユーザーの世界に持ち込みたがっているように見えて仕方ないんですよ。例えば、映画では昔から興行権が認められていて、どういう形で収益をあげていくのかは映画会社側でコントロールできますよね。

というのが印象に残った。

ただ、まあ、ちょうど最近コントロールを強化したいという気持ちをちょっと理解できる経験があった。

私の知人にはセミプロのミュージシャンがいる。 自費出版のCDを何枚か販売したり、コンサートを開いたりしている。 対象が限定されているので、手広くというわけにはいかないが、 ミニコンサートなどはそこそこの客の入りらしい。コアなファンがいるのか。

その彼から新CDが出るという手紙をもらった。その中の一節。

コンサートなどで「応援してます。友達からダビングしてもらったテープいつも聞いてます」と言われると複雑な気持ちです。応援してもらえるのはうれしいけど、CD買ってもらったらもっとうれしいですよね(笑)

まあ、レコーディング費用やCDのプレス代も回収しきれないようでは、 「買ってほしい」という気持ちはよくわかるし、コピーによる「売り上げ減」を目の当たりにするとそういう気持ちになるのも理解できる。違法だしな。

そういう状況で「(CCCDなどで)技術的に禁止できる」と言われたら、 手を出したくなる気持ちも分かるなあ。実際には 本当はコピーじゃなければそもそも彼の音楽を聴かなかったかもしれないから、 「減」とは言い切れないんだけど。

むしろ、「コストを安くして広く届ける」中で広く薄く費用を回収する方が長い目で見るとお得なんだと思う。だけど、最初にそれを行うのは勇気がいることだよなあ。


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