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Matzにっき


2007年12月20日 [長年日記]

_ 呪われたThinkpad X31

ACアダプタの調子が悪い。

今、ふたつ持っているのだが、ふたつともコネクタ周辺の接触が 悪いようでケーブルの角度によって充電できなかったりする。

ので、ホテルから(末広町の)オフィスに向かう途中で 秋月によってThinkpad用ACアダプタを購入する。 もう買い替えが決まっているので、中古で(980円)。

そしたら、オフィスについたらこんどは画面が写らない。 どうもバックライトが切れたらしい。 フレキケーブルの接触不良か。 今朝ホテルで使っている時にはまったく異状の気配はなかったのだが。

しかたがないので、ディスプレイを借りて操作してるんだが、 結構使いにくい。

25日のリリース、危うし。

HDDといい、ACアダプタといい、バックライトといい 呪われているようだ。 購入後3年も経っているからというのもあるのだが、 それにしても集中するものだ。

やっぱ、買い替えの注文を察知してすねてるんだろうか。

馬鹿だなあ、君が一番に決まってるじゃないか(新しいのが来るまでは)

2007年12月15日 [長年日記]

_ [Ruby] Ruby1.9を語る

朝から新幹線で福山から神戸に移動。

  • JR駅、新神戸からJRで移動できない
  • 関西はエスカレータの右を空けるって本当なんだ
  • 三宮駅はわかりにくい

Rubyist関西勉強会で「Ruby1.9を語る」という講演を。

スライドはこちら

まあ、まだまだ変更点については抜けがあると思うけど。 変更そのものが忙しくて、網羅的な変更リストが出来てない。

_ [Ruby] masuidrive on rails >> Blog Archive >> Ruby検定不合格だったよ。。。 orz

増井さんが検定試験に落ちたという話。

試験中は実際のプログラミングではがんがん参照できる リファレンスマニュアルや参考書を試験中は参照できないわけで どうしても記憶力勝負になるのはいなめないんだけど、 それでも記憶に頼る問題が多すぎたかなあ。

結構いろんな人が落ちてることから考えると、 問題作成者や監修者が考えるよりも、難しめだったのかもしれない。

まあ、やさしすぎて検定としての意味がないよりはマシかなあ。

_ [OSS] ワイズノットが民事再生手続開始:ITpro

あらら。

事業そのものが駄目というよりは戦略が裏目に出たという感じみたい。

これでオープンソースビジネスは駄目だ、という印象にならないといいなあ。 まあ、オープンソースでみんなハッピーなんて、現実離れした印象を持っている人は そろそろだいぶ減ってると思いたいんだけど。


2007年12月14日 [長年日記]

_ [OSS] 日本の技術者によるOSSの貢献が少ない理由 - WebStudio

「忙しすぎるから」。

確かに、私が大学卒業して最初に就職した会社では、 夜の3時を過ぎると徹夜勤になって次の日が休みになってしまうから、 その直前にタイムカードを押す、という同僚がいたよなあ。

あと、一ヶ月の超過勤務が200時間とか。 普通に1ヶ月勤務が(8時間×20日働いて)160時間なのに、 残業の方が多いとはどういうことかと。

そこまでして仕事しないといけない状態では 確かにオープンソースソフトウェアに貢献なんて考えられない。 っていうか、仕事以外の私生活は存在できないんじゃないだろうか。

オープンソースへの貢献がどうこういう前に 「生活の質」を向上させる方がずっと先のような気がしてきた。

私は帰る時には帰ってしまうし、 有給消化も積極的なヒトだったので、 あんまり長時間勤務というのは経験がない。

その辺もRubyを作れた原因のひとつかもしれない。

運がよかったというよりも、当然の権利を主張しただけだと 思ってるけど。

_ [Ruby] 福山

講演会の依頼で福山へ。 松江駅から岡山経由で。

駅を出たら目の前が福山城でびっくりした。 こんなに駅に近い城は他にないのではないか。

その後、1時間半ほど講演する。

出席した人は70人ほどか。 思ったよりもスーツ率が高く、 ちょっと内容が技術よりすぎたか。

質疑も少なく、もしかしたら外したかもしれない。


2007年12月11日 [長年日記]

_ MORI LOG ACADEMY: なんとなく節目かも

森博嗣が5年後に引退するという話。

なんか期限を決めて引退とか、あんまり想像できないな。 どういう感覚なんだろう。

小説家とプログラマは、元手がほとんど要らない点や、 ひとつの世界をゼロから創り出すという点で よく類似しているような扱いを受けるし、 私も類似点はあるのだろうなと思う。

しかし、こうしてみると相違点もあるかもしれない(私は小説家の実体はわからないけれども)。

「作品」としての小説とソフトウェアの最大の違いは、 やはりその手離れの良さだろう。 普通、小説は一定期間で完成し、一度完成したらほとんど手を入れることはない。 出版後に小説に手を入れることは、それほど多くはない(ようだ)。 たとえば、井伏鱒二が「山椒魚」の末尾を削除しちゃった話は有名だけど。

小説も改版のときに少々直しを入れることはあるらしいけど、 ソフトウェアほどではないだろう。

一方のソフトウェアは、手離れが悪い。 私がRubyの開発を14年も続けているのなんてその最たる例だろう。 公開しながら14年間もほぼ毎日手を入れるような例が小説にあるとは思えない。

また、結果のコントロールしやすさという点でも、 小説とソフトウェアは異なる。 小説を読んだ結果というのは、読んだ人がどう感じるかというのが 一番重要なことだと思うが、同じ本を読んでも感じ方は一人一人違う。

一方、ソフトウェアは結果を「再現」するものは 再現性の非常に高いコンピュータである。 基本的にソフトウェアは作者の意図通りに動くはずだ。 バグがなければ。そしてバグがないことは滅多にないけれども。

というわけで、小説とソフトウェアは作品としての性質は結構違うという話。

でも、世界を創る「万能感」が動機になってるところとかは、 「小説家」と「プログラマ」はやっぱり結構似てるかもしれないけどね。


2007年12月10日 [長年日記]

_ Thinkpad

もう、ほぼ落ち着いたのだが、やや不満がある。

  1. eth1になったこと。znzさんのご指摘通り、 /etc/udev/rules.d/z25_persistent-net.rulesを書き換えたら直ったけど。 なんでここが書き換わったんだろう。
  2. サスペンドからの復帰にたまに失敗する。X31のACPIのできが悪いせいかも
  3. サスペンドから復帰するとネットワークが切れる。gnome-power-managerが 悪さしているのか。それともpowersavedか。簡単な設定では直らないみたい。
  4. sessionでアプリが自動起動するのは良いけど、ウィンドウサイズや位置を覚えててくれない。
  5. sessionでFirefoxが自動起動しない

まあ、4と5は以前の環境ではできていなかったので、贅沢なんだけど。

2はKernel起動時にAPMを指定することで解決。 ACPIの方が温度とかたくさん情報がとれるので(メーター好きには)嬉しいんだけどな。

3はpowsersavedをアンインストールしてみるか。

追記

powersavedが正解。apmdを代わりにインストールしたら、 ネットワークが切れなくなった。gnome-power-managerは APMだとバッテリ状態がわからないみたい。

バッテリアプレットがちゃんと動くからメーターとしては問題ないんだけど。

_ [OSS] OSCARアライアンスが解散へ - ITmedia エンタープライズ

発展的解消というプレスリリースだが、 まあ、結局はいろいろうまく行かなかったんだろうなあ。

やはりアプリケーションレイヤーでオープンソースというのはチャレンジが大きいのと 関係があるんだろうか。いや、オープンソースじゃなくてもチャレンジは大きいのだが。

アプリケーションレイヤーのように直接のユーザに近ければ近いほど、 いろいろな「注文」を一手に引き受けることになる。 日本のような「出来合いシステム」になじみのない環境では、 「ソフトに自分を合わせる」ということを要求するやり方は 受け入れられるためにかなり強い動機づけが必要になる。

それに比べたら、直接のユーザインタフェースを伴わない ミドルウェア、開発ツール、言語、OSはよっぽど簡単だ。 オープンソースソフトウェアの成功例がこのような分野に多いのは偶然ではないと思う。

とはいえ、アプリケーションレイヤーでの成功例もこれからどんどん出てきてほしいのだが。

(隠れた成功例: ORCA)

_ 安物買いの銭失い...開発をアウトソースしてはいけないという事例 - masayangの日記(ピスト通勤他

ボーイングが787の100億ドルの開発費を削減するために 積極的にアウトソーシングを押し進め、結果として20億ドル余計にかかった という話。

やはりコアな部分はアウトソースしてはいけない、ということだ。

ソフトウェア開発という多くの企業にとってそれなりに重要な部分を 受託開発という形で請け負っている会社の従業員としては 複雑な気持ちである。

が、みんながみんな結局はコア技術は自分のところで開発した方が良い ということに気がついちゃったら(実践できたら)、日本のIT業界は 完全にひっくり返るだろうな。

それでいいのか。いいのか。

_ 【IT Service Forum 2007】「摺り合わせ文化など日本には日本の良さがある」,国内SIベンダーの強みを力説:ITpro

で、思い出したのがしばらく前のこの記事。

いや、言ってることが間違いだとは思わない。

「日本には摺り合わせ文化があり,日本独自の文化と商習慣がある。社会基盤が異なる国で生まれた標準をそのまま適用するべきではない」(阿部氏)。

「システム開発において日本のSIベンダーはインドのSEと戦えるのか」という問いに対して「(顧客企業の業務ノウハウに強いなど)日本独自の世界でなら,日本がインドに負けるわけがない」と断言。「シリコン・バレーと同じことをしていたら,日本は他国に勝てるわけがない。逆に,日本独自の世界でなら,他国に負けるわけがない」

それは確かにそうなんだけど、それって「日本的な環境がこれからも維持されたら」とか 「日本だけで十分な市場規模が維持できたら」とか、 「日本の独自文化を維持するためのコストが正当化されるなら」というような、 今となってはいつまで続くかわからない暗黙の前提があるのではないか。 特に最後のが一番怪しい。

幕末期に「近接戦闘なら武士が負けるはずがない」と 言ってるようなもので、明治維新で武士という身分そのものがなくなってしまうような 前提条件がひっくり返りそうな気配が見える時に、 トップがそんな危機感のなさを公言してしまうのは、こちらが空恐ろしさを覚える。


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